局地天気図を用いた等圧線記入問題は、小規模な低気圧を見つけるのがポイントです。
※「等圧線解析問題の傾向」はこちらを参考にして下さい。
対策の概要
【対策1】 風向から低気圧性循環を見つける
【対策2】 3桁の気圧値表示に慣れる
対策の詳細
対策1 風向から低気圧性循環を見つける
低気圧は北半球では反時計回りの風向ですが、地上では摩擦の影響により低気圧中心に吹き込むようになります。このような風向がどこにあるかを意識して解析します。
①地上風と循環の寒気を理解する
上空では等圧線に平行な地衡風が吹きますが、地上では摩擦により気圧傾度力とコリオリ力のバランスが崩れ、風は気圧傾度力の方向に少し戻されます。これが地上風です。
低気圧性循環では図1のように、反時計回りの風が低気圧の中心に吹き込みます。これによって低気圧では風が収束し、上昇気流が発生します。
②低気圧性循環をすべて見つける
低気圧性循環を見つけるとほっとしてしまいますが、まだ気を抜かないでください。規模の小さな循環は、地形などの影響により複数個発生することがあります。
過去の問題でも、低気圧性循環が2つあるものが出題されています。与えられた気圧値だけでなく、風向きにも注意して循環の見落としがないようにします。
③気圧値に注意する
次の問題文を読んでください。
解答図に未記入の等圧線を実線で記入するとともに,対応する等圧線の値を記入せよ。
これを「986hPaの等圧線を記入しなさい」という問題と早合点しないようにしましょう。「986hPa以下が未記入」とあるので、984hPaや982hPaなども記入する可能性があります。
与えられた気圧値から、等圧線を何本引くのか自分で判断しましょう。
(練習)
1003.3, 1001.5, 1000.1, 999.5, 987.0
(解答)
1002, 1000, 988hPaの3本(1003.3 | 1001.5, 1000.1 | 999.5 | 987.0)
(1004, 986hPaを足した5本でも正解です)
④循環を読み取る練習をする
試験で出題されるような局地天気図の入手は一般には困難です。普段から練習をするには、FXJP854(850hPaの相当温位と風)の天気図を使って、高気圧や低気圧周辺の風向を普段から意識して見るようにしましょう(図2)。
対策2 3桁の気圧値表示に慣れる
局地天気図の気圧は、小数点以下1桁を含めた3桁で省略表記されます。
- 気圧値は0.1hPa単位で、3桁の数字で表示される
- 気圧が1000hPa以上の場合:
千と百の桁を省略し、下2桁と小数点1桁の3桁で表示する - 気圧が1000hPa未満の場合:
百の桁を省略し、下2桁と小数点1桁の3桁で表示する
例)1001.2hPa→012、1011.4hPa→114、990.4hPa→904、989.0hPa→890
上記ルールを理解した上で、3桁表記の気圧値を通常の表記に変換する簡単なルールを紹介しておきます。
①3桁表記の気圧の一の位と十の位の間に小数点の点を記入する
②次に百の位の数字に着目する
・数字が「0」「1」「2」のいずれか(012グループ)なら、頭に「10」をつける
・数字が「8」「9」のいずれか(89グループ)なら、頭に「9」をつける
例題で確認してみましょう。
例1)106を変換する
①小数点を記入すると 10.6
②百の位が1(012グループ)なので頭に10をつけて、1010.6hPaとなる。
例2)092を変換する
①小数点を記入すると 09.2
②百の位が0(012グループ)なので頭に10をつけて、1009.2hPaとなる。
例3)982を変換する
①小数点を記入すると 98.2
②百の位が9(89グループ)なので頭に9をつけて、998.2hPaとなる。
3桁の気圧値を見たら、頭の中で上記の変換ができるまで練習してください。
過去問にチャレンジ
では過去問題で実践してみましょう。
では順に見ていきます。
①気圧の範囲を確認する
与えられた気圧の最小値は839(983.9hPa)ですから、記入する等圧線は986hPa、984hPaの2本になります。問題文にも「986hPa以下の等圧線が未記入」とあるので、複数本の記入が示唆されています。
②解答用紙にトレーシングペーパーを重ねる
解答用紙にいきなり記入しても良いですが、トレーシングペーパーで下書きすると書き損じも減らせると思います。
トレーシングペーパーを重ねたら、全体の枠をざっくりとなぞっておきます(図4)。
③色鉛筆で気圧値をマーキングする
風向から低気圧性循環を見つけても良いのですが、本問は矢羽が多くてわかりづらいです。与えられた気圧データが多いので、色鉛筆でマーキングすると等圧線の形状を概観しやすくなります。
ここでは986〜988hPaの間の気圧を青、984〜986hPaの気圧を赤、〜984hPaの気圧を緑でマーキングしてみます。
赤が南北に分布し、青がその間を横切っているように見えます。この状態でざっくりと等圧線を記入してみました(図5)。986hPaの閉じた等圧線は南北に一つずつあり、南側の上端には984hPaの閉じた等圧線が解析できました。
ここまで解析できれば、解答用紙に清書ができます。風向と矛盾しないことを確認しながら、988hPaの等圧線に沿わせるように記入します。
最後に等圧線の値を忘れずに記入します。
自分でも実際にトライして、やりやすいようにアレンジしてください。
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