強風軸解析の練習

今回は過去の天気図を題材に、強風軸の解析を練習します。

強風軸の見つけ方をおさらいした後、練習問題を2問用意しました。天気図をダウンロードして、自分でも強風軸を記入してみてください。

後半には解説をつけてありますので、参考にしてください。

 

強風軸解析の要点

強風軸を解析する目的と、その手法を振り返っておきます。

解析の目的

  • 日本が位置する中緯度帯は温度傾度が大きく、そのようなところに強風軸がある
  • 強風軸の位置は、前線を始めとした気圧系の動きや発達の目安になることがある

解析方法

  • 300hPa天気図の等風速線をなぞり、その中の風速が最も強いところに強風軸を引く
  • 風速の最大値から1〜2本(夏季)、ないしは2〜3本(冬季)までをなぞる
  • 上層では地衡風が吹くので、等高度線に平行にひくことを基本とする
  • 冬季は強風軸が3本解析できる(注)
    • 寒帯前線ジェット北系(Jpn:8,760〜8,880m)
    • 寒帯前線ジェット南系(Jps:9,240m)
    • 亜熱帯ジェット(Js:9,480m)
  • 夏季は強風軸が1〜2本解析できる(注)
    • 亜熱帯ジェット(Js:9,600m)
    • 寒帯前線ジェット南系(Jps:9,360m)
    • 寒帯前線ジェット北系(Jpn:9,000〜9,120m) ※300hPa天気図では見えない

(注)高度は目安であり、120mほど前後にずれることがあります。なお、春・秋は冬と夏の値を参考に解析します。

強風軸の解析については、過去記事「強風軸解析を理解しよう」も参考にしてください。

 

問題

出題の天気図を納めたファイル(pdf)はこちら→ 演習問題

演習1

図1を見てください。

問1)季節はいつでしょうか。夏か冬で答えてください。

(ヒント)

  • 等高度線が混み合っているので、相対的に気温は低いはずです。

問2)強風軸を解析してください。

(ヒント)

  • 等風速線の最大風速は120ktなので、それより1〜2段階低い100kt、もしくは80ktをもとに解析します。
  • 強風軸は3本、解析できます。

図1

 

演習2

図2を見てください。

問1)季節はいつでしょうか。夏か冬で答えてください。

(ヒント)

  • 等高度線の間隔は広く、相対的に気温は高いはずです。

問2)強風軸を解析してください。

(ヒント)

  • 日本周辺の等風速線の最大風速は60ktなので、それより1段階低い40ktをもとに解析します。
  • 強風軸は2本、解析できます。

図2

 

解説

演習1の解説

問1)季節はいつでしょうか。春夏秋冬で答えてください。

まず天気図全体を見て、等高度線の位置や混み具合について気がついたことを書いてみましょう。

  • 等高度線の範囲は9,720〜8,520m
  • 等高度線の間隔が狭い
  • 等風速線の最大値は120kt
  • 日本にかかる等高度線は9,480〜8,760m

これらのことから総合して、季節は冬季だと判断します。

冬季なので、強風軸は亜熱帯(Js)、寒帯前線の南系(Jps)と北系(Jpn)の3本が解析できると予想します。

 

問2)強風軸を解析してください。

等風速線をなぞる

300hPa天気図には等風速線が破線で表示されています。等風速線は20ktごとに書かれています。

強風軸を解析するための目安となるよう、風速の大きい順に等風速線をなぞっていきます。冬季は風速が大きいので、風速の最大値から2〜3つ程度なぞっておきます。ルールはないので、強風軸が引きやすければそれで良いと思います。

風速の最大値は120ktでしたから、今回は80ktまでなぞります。

数値や線などのスタンプと重なって、等風速線が読みにくくなる箇所もあります。

下図で100ktの等風速線をなぞっていると(青い破線)、9,360mの等高度線や風速値「100」と重なってしまい、等風速線を見失いました。

外側の等風速線(赤の破線)は80ktなので、その内側にあるはずです。他にどこにも破線がないことを確認し、等高度線と風速値で等風速線が隠されていると判断し、自分で線を外挿します。

 

▼強風軸を解析する

季節は冬と判断したので、強風軸は亜熱帯ジェット(Js:9,480m)、寒帯前線ジェット南系(Jps:9,240m)、寒帯前線ジェット北系(Jpn:8,760〜8,880m)の3本が解析できると予想します。

この高度を目安にして線を引けば、下図の通りに解析できると思います。

 

強風軸を100ktに引いたところ、亜熱帯ジェットに伴う強風軸は3本に分かれました。強風軸は龍のようにうねっているので、これで問題ありません。

この天気図は、2020年1月6日12UTCのものです。この日の地上天気図から、地上のじょう乱と関連性があるかを見てみましょう。

華中から対馬海峡に停滞前線が伸びています。これが、先に解析した亜熱帯ジェット(Js)の強風軸と結びついています。

翌7日には前線上に低気圧が発生し、SW(海上暴風警報)級に発達しました。このように、地上と上層でしっかりと結びついているじょう乱は発達することが確認できます。

 

演習2の解説

問1)季節はいつでしょうか。春夏秋冬で答えてください。

前問と同じように、全体を概観します。

  • 等高度線の範囲は9,840〜9,120m
  • 等高度線の間隔は広いが、日本が位置する北緯30〜40度付近は相対的に混み合っている
  • 日本付近の等風速線の最大値は60kt
  • 日本にかかる等高度線は9,480〜9,720m

以上から、季節は夏季と判断します。

夏季なので、強風軸は亜熱帯(Js)の1本、もしくは寒帯前線の南系(Jps)も含めた2本が解析できると予想します。

 

問2)強風軸を解析してください。

等風速線をなぞる

夏季は風速が小さいので、最大値から1つもしくは2つをなぞります。今回は、日本周辺では40ktまでなぞることにします。

カムチャツカの東の9,120mには寒冷渦があり100ktの風が吹いています。寒帯前線ジェット南系(Jps)の強風軸がありそうです。こちらは風速が大きいので、60ktまでなぞってみます。

 

▼強風軸を解析する

季節は夏と判断したので、強風軸は亜熱帯ジェット(Js:9,600m)、寒帯前線ジェット南系(Jps:9,3600m)の2本が解析できる予想です。

この高度を目安にして線を引いたところ、下図のようになります。

 

この天気図は2020年7月13日00UTCのものでした。

 

最後に

強風軸を解析させる問題は、過去12回(第53回〜42回)の試験で3回出題されています。配点は2〜3点です。

今回の2問ができるようになれば、強風軸の解析は大丈夫です。試験本番の2週間ぐらい前からは日々の天気図で練習を繰り返し、短時間で確実に解析できるようにしてください。

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