ASASを読むための事前知識

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ASASを読みこなすために必要となる、基本的な知識をまとめてみました。

今回のポイント

次の定義・関係と数値が大切です。

  • 1NM(海里)は緯度差1分の距離 (1分は1/60度)
    • 1NM(海里)=1.852km
    • 緯度差10度の距離=600NM=1,111km
  • 1KT(ノット) は1時間に1分進む速さ
    • 1KT = 1.852km/h0.514m/s
  • 緯度差1度の距離はどこでも同じ
  • 経度差1度の距離は高緯度ほど短い

定義はしっかりと覚えましょう。数値は簡単に導くことができるので暗記するのではなく、使うたびに導びき出して、その過程で覚えるようにしましょう。

 

ASASを読むための事前知識

緯度線と経度線

緯度と経度は、地球上の位置を特定するのに用いられます。

緯度は赤道を通る大円と、その地点の天頂の方向がなす角度です。大円というのは、球の中心を通る円のことです。一方、経度は観測地点と北極・南極を通る大円と、グリニッジを通る大円がなす角度です。

赤道に平行に地球を輪切りにしているのが緯度線、南北にスイカのように櫛形に切っているのが経度線です。

「緯」は横糸、「経」は縦糸という意味があるのが名称の由来ですが、「よこ・い・けい・た」という人名にして覚えるやり方もあるそうです。

 

天気図に出てくる距離と速度

緯度差の距離

子午線(経度線)に沿った北極から赤道までの距離は1万kmと定められています(図1)。

図1 赤道から北極の距離

 

これはたまたま1万kmなのではなく、18世紀末のフランスで「メートル」の長さを決めるのに「地球の北極から赤道までの子午線の長さの1,000万分の1」と定めたからです。

さて、赤道は北緯0°、北極は北緯90°ですから、緯度差の距離を求めると次のようになります。

緯度差10度の距離 10,000 ÷ 9 = 1,111km
緯度差  1度の距離 10,000 ÷ 90 = 111.1km

この数値はは地球上のどこでも変わらないので、必ず覚えておきましょう

 

経度差の距離

緯度線は経度線と異なり小円なので、緯線と交わる経線間の距離は緯度に応じて異なります。

例)経度差10度の距離

  • 赤道上(緯度0°) 10,000 ÷ 9 = 1,111km (緯度差10度と同じ)
  • 緯度30° 10,000 X cos 30° ÷ 36 = 962km
  • 緯度40° 10,000 X cos 40° ÷ 36 = 851km

緯度が上がるほど経度差の距離は小さくなり、北極では0となります。

天気図上でディバイダーや定規で2点間の距離を測るのに、経線上で度数差を求めるのはこのためです。

図2 経度差10度と緯度差10度の距離

 

海里(NM)

地上のマイル(哩)は人の歩く距離が由来だそうですが、海上のマイル(NM: Nautical Mile)は緯度1分に相当する距離です。

「緯度差1度=111.1km」と「1度 = 60分」の関係を思い出して、海里(NM)をキロ(km)に変換してみましょう。

111.1km ÷ 60 = 1.852 km/NM

 

天気図に記載されているスケール

ASASの右上に、SCALE IN NAUTICAL MILESと表記されたスケールがあります(図3)。これを用いると、ディバイダーや定規で緯度線に沿った経度方向の距離を測ることができます。

 

図3 経度方向の距離を測るスケール

 

縦軸は緯度を表します。「EQ」は赤道で、北緯0°に相当します。線は10°ごとに引かれ、目盛りは20°ごとに打たれています。

横軸はその緯度における距離(海里表示)を表します。上に向かって伸びている曲線は距離の等値線です。例えばEQから600の線が原点に向かって凸状に伸びています。この曲線上ではどこでも、縦軸からの水平距離が600NMになります。緯度を上昇するほど経度間の距離は短くなっているのが分かります。

この目盛りを使って、北緯40度における経度差10度分の距離を測ってみましょう。

日本付近で北緯40度における緯度線に沿って、ディバイダーを東経140度と東経150度の広さに開きます(図4)。

次に、目盛りの「40N」上の水平線にディバイダーを合わせます(図5)。EQから伸びる等値線を読むと、460NMと読むことができます。

460NMに倍率1.852km/NMをかけると852kmになりますので、先に求めた北緯40°における経度差10度の距離851kmとほぼ一致することが確認できました。

 

ノット→時速、秒速の変換
1KTは、1時間に1NM=1.852kmを進む速さなので、時速に変換すると、

1KT = 1.852km/h

になります。

これを秒速に変換すると、

1KT = 1.852km/h = 1852m ÷ 3600s = 0.514m/s

となります。

 

天気図上の方位

図法

球体である地球を平面である地図で表現するために、目的に合わせた様々な図法が存在します。

ASASやSPASは、「正角図法」の一種である「ポーラーステレオ図法」で書かれています。これは、風向のように各点における方向を表すのに適した図法です。

 

方位

天気図で風向を読んだりじょう乱の進む方角を示すのに、方位が用いられます。

 8方位: 漢字2文字で表される「北」「北東」「東」など、8種類の方位

16方位: 漢字3文字で表される「北」「北北東」「北東」「東北東」「東」など、16種類の方位

 

方位の読み方

南北は経線、東西は緯線に沿って読みます。いくつか例を並べますので、自分の読み方と一致するか確認してみてください。

なお、各図のじょう乱の進行方向は、気象庁の「短期予報解説資料」から引用しています。

 

 

 

 

 

試験では方位の読み取りは必ず出題されます。極端な間違い、例えば北を南と読むとかしなければ、あまり神経質にならなくて良いと思います。

 

じょう乱の速度

じょう乱の速度は、遅いものを表す「ALMOST STNR(ほとんど停滞:速度5KT以下で進行方向が定まっていない)」、「SLW(ゆっくり:速度5KT以下で進行方向が定まっている)」から始まり、5KT刻みで表記されます。

速度はASASでは海里(KT)で表記されますが、SPASでは時速(km/h)で表記されます(表)。

天気図を見ていると30KT以下のものが多いように思いますが、稀に40KTや45KTというものもあります。

 

速度(KT) 速度(km/h) 12時間で進む距離(km) 24時間で進む距離(km)
10 20 240 480
15 30 360 720
20 35 420 840
25 45 540 1,080
30 55 660 1,320
35 65 780 1,560
40 75 900 1,800
45 85 1,020 2,040

注)時速(km/h)はSPAS(速報天気図)で用いられている数値です。

 

したがって、25KTで進んでいるじょう乱は、ほぼ24時間後には経度10度分(=1,111.1km)を進むことになります。

東京〜福岡間の距離が約1,100kmですから、福岡にじょう乱があれば1日後には東京に達するという目安になります。

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