予報士試験では、「じょう乱の周辺の雲の分布の特徴を述べよ。」のような記述式問題がよく出題されます。
抽象的で着眼点を見つけにくいこの種の問題の対策を考えてみます。
「雲の分布の特徴」とは何のこと?
衛星画像から雲の雲頂高度、雲の種別、雲の特徴的な形状やパターン、雲の広がり方を判別して、題意に即して適宜組み合わせて文章化します。
- 方角
地上低気圧の中心付近、中心の東側、北西側、南東側 など
※じょう乱から見てどの方角に雲があるのか(場合によっては雲がないのか) - 雲頂高度
高い、やや高い、低い など - 雲の種別
対流雲、積乱雲、上層雲、下層雲 など - 形状・パターン
団塊状、帯状、バルジ状、Ciストリーク、暗域 など - 広がり方
広がる、分布する、少ない、連なる、まとまる など
題意に即して組み合わせることで、「北側には雲頂高度の高い積乱雲が分布している」のような文章を作ることができます。これが雲の分布の特徴です。
特定の現象に伴う雲のパターンを覚えよう
ひと通りの学習を終えていれば、「団塊状」、「かなとこ雲」、「バルジ状」、「バウンダリー」などの表現は知っているでしょう。
しかし、与えられた衛星画像からこれらのパターンが存在するかどうかを判断するのは、思いのほか難しいものです。
普段から衛星画像に親しみ、雲が出てている領域や雲が出ていない領域ではどのような現象が生じているのかを天気図も併用しながら考える習慣をつけましょう。
主な雲の名称とその特徴を表1に示します。

時には心眼を使うことも必要
「心眼」とは目に見えないものを見抜くことです。
問題用紙に印刷された衛星画像は画質が十分でなかったり静止画像であることなどの理由により、問われている特徴を識別することが困難なことがあります。
例として、第56回実技2問1の問題を取り上げます。
(問題)
図2の気象衛星赤外画像に基づき、(9月)6日9時の台風周辺の雲分布の特徴を、台風中心の北西側と南東側を対比し、対流雲と上層雲に言及して50字程度で述べよ。(56-2-1)
(模範解答)
北西側は雲が少なく、南東側に発達した対流雲があり、その上部から吹き出した上層雲が南へ広がっている。
9月6日9時の地上天気図(図1)と気象衛星赤外画像(図2)を示します。
真夏の発達した積乱雲、あるいは台風の周辺では、鉛直方向に発達した対流雲が圏界面でオーバーシュートして、対流雲の雲頂が水平に広がることがあります。
可視画像ではオーバーシュートした雲が粒々状(凹凸状)に見えたり、赤外画像では上層雲が広がったりなびくことで確認することができます。
しかし、図2からそのような状況を確認することは容易ではありません。そこで衛星画像に加えて、そのほかの情報も合わせて総合的に判断します。
問題文には「上層雲に言及せよ」とあります。また、地上天気図(図1)によると、この台風は熱帯低気圧から格上げされたばかりで、今後24時間は風速が大きくなり発達が予想されます。
このような状況で思いつく現象は、発達した対流雲の雲頂付近で上層雲が水平に広がることです。そのようなイメージを持って画像を見直して矛盾がなければそれを解答とします。
もちろん、発達した積乱雲に伴うかなとこ雲について学習をしていなければ、この心眼は発揮できません。
参考に、この日の8時〜11時の赤外画像を動画にしたものを図3に示します。これを見るとオーバーシュートの状況や上層雲の広がりをより容易に解析することができます。

30字以上の記述では2つの領域を対比させる
ここまで「雲の分布の特徴」問題にどう解答したら良いかを考えてきました。しかし、中には「45文字程度で述べよ」のような長い解答文を要求する問題もあります。これは文字通り、雲をつかむような話です。
このような長文問題の答え方があります。それは、「特徴が異なる雲からなる2つの領域を対比させて述べる」というものです。
例題を見てみましょう。
図3を用いて、本州付近の台風の中心から半径500km程度の範囲について、赤外画像における雲の分布の特徴を、雲の高さに言及して45字程度で述べよ。(52-1-1(4)、一部改変)(模範解答)
中心付近の雲頂高度は低く、北側では雲頂高度の高い積乱雲が、南側では下層雲が分布している。
このように、文字数が30文字以上の記述問題では問題文に指定がなくても、雲の分布の特徴が異なる2つの領域を、じょう乱から見て4方位または8方位で対比させて述べる例が多いです。
台風の場合は2つの領域に加えて、台風中心も加わることが多いので覚えておいてください。
最後に
この記事を参考にして研鑽を重ねることで、「雲の分布の特徴」問題は得点源になるはずです。
しかし衛星画像を見る実力は、普段から衛星画像を見ることで養われます。
雲のあるところだけでなく、雲の出ていないところにも注意を払うこと。そして天気図と見比べながら、雲の発生場所や原因を推理するプロセスをぜひ続けていただきたいと思います。
図の出典:
気象業務支援センター(図1、2)
JAXAひまわりモニタを加工して作成(図 3)
この記事が役に立ったと思われた方は、ポチッと押してください。

