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気象予報士試験の日程は変更すべき?

気象予報士試験は年2回、8月下旬と1月下旬に実施されています(平成6年度のみ3回実施)。この日程が妥当なのか、改善の余地はないのか考えてみたいと思います。具体的には、5月と11月の実施を提案します。

第65回気象予報士試験

試験の日程について深く考えるようになったきっかけは、第65回気象予報士試験(2026年1月25日実施)です。

2025年から2026年にかけての冬は冬型の気圧配置になることが多く、過去最高の積雪量を更新する地点もありました(図1)

図1 天気図(上段)と前3時間降雪量(下段) 出典:気象庁天気図を加工して作成

 

GSM数値予報からは、試験日前後に冬型の気圧配置となり日本海側では大雪になる可能性が予想できました(図2)。

図2 Xの投稿(1月16日)

 

1月19日、気象庁と国土交通省は合同で大雪に対する緊急発表と会見を行い、「不要不急の外出を控える」ように促しました。

 

このような状況で第65回気象予報士試験が実施されました。

さらに、これより遡ること5ヶ月間前に実施された第64回気象予報士試験(2025年8月24日実施)の当日は高気圧に覆われて強い日差しで気温が上昇し、群馬県桐生と埼玉県鳩山で39.4℃を記録しました。解答用紙が汗で腕にへばりついたり、逆に冷房が効きすぎて寒い思いをした方もいるでしょう。

気象予報士試験は、なぜこのように気象条件が良くないことが予想される時期に実施されるのでしょうか。

試験の開催要領

気象予報士試験は毎年少なくとも一回行うこととされています(気象業務法施行規則第十四条)。コロナ禍においても中止せずに実施されてきました。しかし、具体的な日程については定められていません。

8月と1月に実施されることになった経緯は調べても分かりませんでしたが、法律的根拠がないのであれば日程の変更はできるはずです。

また、試験は管区気象台の所在都市8札幌、仙台、東京、大阪、福岡、那覇の6都市)で実施されていますが、これについても法律的な規定はありません。
※第126回国会 衆議院 運輸委員会 第6回 平成5年5月11日で審議

こうしてみると、受験生本位の受験しやすい環境を整備することに支障はなさそうです。

北海道会場の状況

ここで、第65回気象予報士試験の当日の状況はどうだったのか、札幌会場で受験された方(お名前をAさんとします)にお話を聞きました。Aさんは北海道内在住ですが、飛行機を利用して札幌に移動し市内のホテルで前泊されています。

ー当日の状況を教えてください。

試験前日の24日は天気は晴れで交通機関は通常運行で安心しました。翌日がまさかこんなことになろうとは想像できませんでした。

試験当日の25日はホテルを出ると、部屋の窓から見た雪からは想像できない湿った大雪で車道しか歩けず、メガネも着雪のため外しました。

会場に到着すると、全科目とも開始時刻が30分繰り下げになったことを知らされました。このような情報は気象業務支援センターのホームページを活用するなどして、迅速に受験生に提供してもらいたいと思います。

乗用車で会場近くまで来た人は雪だるまのような状態で入ってきて、「車が会場近くの道路に埋まって身動きできない」と訴えていました。

市内の道路は除雪がまったくされていない状況でしたが、JRもバスも止まっている状況では自家用車しか移動手段がなかったのでしょう。札幌市内や近郊の方は移動が大変だったのではないでしょうか。

ー試験終了後は無事に帰れたのですか。

予定では、試験終了後はその日のうちに千歳空港から飛行機で帰宅する予定でした。

実際は、JR北海道の運休により札幌市内から動くことができず、帰宅できたのは試験日から3日後の28日の夕方でした。

ー試験の運営者に望むことはありますか。

まず、試験会場が少ないですね。私は遠隔地に住んでいるため、試験前日には札幌入りしないと間に合わないのですが、今回のような交通事情の問題に加えて金銭的負担も大きいです。

それから緊急時には受験生に積極的な情報発信をお願いしたいです。会場近くで自動車がスタックした方も、試験開始に間に合わなくなると思って会場に飛び込んできたものと思われます。

試験は年2回実施していただくのは良いのですが、5月と11月の実施というのは良い案だと思います。インフルエンザや出水期を避けることもできますね。

試験の実施要領は見直せないものか

さて、2026年1月の気象状況が極端であり、滅多に起こることではないと言い切れるでしょうか。

Aさんは自家用車による移動、汽車による移動などを試した結果、金銭的負担は大きくても飛行機利用が肉体的疲労が一番小さいという結論に至ったそうです。

北海道にとどまらず、北陸や山陰地方などに在住で会場まで長距離の移動を伴う方は、それだけでも大きなハンディを負っていると言えます。

私は都内在住ですが、それでも昨今の公共交通機関は設備故障や人身事故で運行が乱れるおそれがあり、会場に無事到着するまでは安心できません。ましてや6都市の会場まで長距離を移動する受験生の負担や懸念は想像以上のものがあるでしょう。

試験運営者は試験会場を増やすこと、それが無理でも試験日程を変更することを最低でも実施に向けて動いていただきたいと思います。

私は試験日程を出水期、台風、雪という顕著な現象が発生しにくい月と11月の実施にするのが良いと思います。

また、現在は8月の試験で失敗すると1月試験までの時間が短いという悩みがありましたが、5月・11月にすることで試験の間隔がいずれも6ヶ月となり準備がしやすくなるでしょう。

最後に

試験日を変更する提案のメリットは受験生のみならず、試験運営者にとっても運営稼働の削減という大きなメリットがあります。

大雪になれば現場の試験監督は円滑な運営に気を遣うことなります。また試験終了後、回収した問題用紙と解答用紙を破損・紛失せずに、採点場所まで配送しなければなりません。真冬や真夏の試験開催は暖房や冷房を使うことになり、エネルギー消費につながります。

なんといっても、気象庁自らが「不要不急の外出を控えてください」と呼びかける時期に試験を行っているというのは恥ずべきことではないでしょうか。

この記事に対するご意見をぜひお待ちしています!

トップ画面の出典:国土交通省「大雪に対する国土交通省緊急発表」(令和8年1月19日)

 

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