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実技試験の参考書

これから実技試験の学習を始める方に向けて、参考書についてまとめました。

実技試験対策では長いこと使われてきた参考書があったのですが、私の知らぬ間に絶版になっていたようです。

入手可能な参考書

「イラスト図解 よくわかる気象学(実技編)」
中島俊夫・著、ナツメ社
2022年9月2日初版

 

同一著者による「イラスト図解 よくわかる」シリーズの一般知識、専門知識に続く3部作目です。2部構成になっており、前半は実技に必要な知識の解説、後半は過去問題の抜粋で別冊です。

著者は過去の試験問題を分析して、時間をかけて本書を執筆したであろうことが伝わってきます。

そもそも気象予報士の実技試験は「明日の天気予報を作成しなさい」という問題ではなく、日常的に行う天気図解析とは異なる内容です。その意味で、初心者が本書を使う前に天気図解析と実技試験のギャップを埋める一冊が本書とは別にあると良い気がします。

また、ジェット気流やトラフなどの解析の説明は表面的で、学習者が抱えがちな悩みを解決してくれる内容ではありません。

とは言え、実技試験対策の参考書として書店で入手可能なのは執筆時点でこの一冊のみのようなので、受験生の多くが本書で学習することになるでしょう。

解説部分だけで431ページあるので、1日に10ページ読んでも1ヶ月半かかります。最低でも2回は読むとすると読み終えるのに3ヶ月かかるので、それを意識したスケジュールを立てましょう。

 

入手困難な参考書

「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト(実技編)」
気象予報士試験受験支援会・著、技術評論社
2012年4月1日初版

 

支援会による「らくらく突破」シリーズの実技編です。かつては受験生の大半が本書のお世話になったものと思われます。

しかし気がついたら、「らくらく突破」シリーズの3部作とも、Amazonでは新品の取り扱いが終了していました。

本書の特徴は前半に基礎知識と高層天気図の解説があり、後半は豪雨や梅雨など気象現象別の単元になっており、それぞれの中に用意された簡潔な問題を解くことで理解を深めていくという構成になっていることです。

私も本書を使って実技の学習を始めましたが、前半の部分で内容が分からずに何度も挫折しました。

 

「読んでスッキリ!解いてスッキリ!気象予報士実技試験 合格テキスト&問題集」
気象予報士試験対策研究会・編著、ナツメ社
2017年11月1日初版

 

「ひとりで学べる 気象予報士実技試験 完全攻略テキスト&問題集」(2015年1月5日初版)の事実上の改訂版です。

気象のプロである気象庁OBが執筆に関わっています。「わかっている人目線」で書かれているため、これから実技を勉強する初心者にはとてもとっつきにくい構成と内容になっています。

試験に合格してある程度の経験を積んだ人が、事典として使うと便利だと思います。

大型書店には最近まで並んでいたのですが、Amazonではすでに新品の掲載がなくなっており驚きました。ナツメ社としては「イラスト図解 よくわかる気象学(実技編)」(冒頭で紹介)を後継として出版したので本書は役目を果たしたということなのでしょうか。

 

最後に

平成10年代後半から20年代にかけて、気象庁長官を務めた新田尚氏による実技関連の書籍が多数出版された時期があります。試験に直結する内容ではないのですが、試験合格後にも役立つ内容の濃いものでした。

この時期は気象予報士試験の受験者数が5千名を超える黄金期と重なっており、出版社もそろばんを弾きやすかったのかもしれません。

その後は受験者数は急落し3千名割れが懸念されましたが、令和3年から急回復し令和5年に至るまで4千名台後半を維持しています(図)。

図 申請者数と合格者数(クリックして拡大)

図の出典:「令和6年度第1回気象予報士試験の受験者数等について」気象業務支援センター

この傾向が維持されれば、新たな参考書の登場も期待できるでしょう。気象予報士と気象庁OBが組んで執筆にあたると、受験生目線の良書ができるはずです。

 

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