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合格できるスケジュール作成

気象予報士試験に初めてチャレンジする人を対象に、学習計画の作り方をステップごとに分けて考えてみます。

やるべきことを抽出して、完了時期までの実行管理を行うプロセスはプロジェクト・マネジメントそのものです。

計画の作成はステップ1から4までの4段階に分かれていて、すべてを実施するには2〜3週間かかります。計画の良し悪しがプロジェクトの成否を決めるので、じっくりと取り組みましょう。知り合いに試験合格者がいれば、相談しながら進めると効果的です。

なお、すでに試験にチャレンジ中の方は、この学習法を参考にしてアレンジしてみてください。

 

ステップ1:試験範囲を把握する

学習計画を立てる前に、過去問題を数年分解いてみましょう。学習を始める前に過去問にチャレンジして何の意味があるのか?実は大きな理由があります。

学習計画を立てるためには、出題の範囲や難易度を把握しておく必要があります。すべての資格試験について言えることですが、試験の全容を把握しておかないとスケジュールを作ることはできません。しかし、分厚い参考書を読み通すには時間がかかりすぎます。

過去問に目を通すことで出題される範囲、問題の設定方法や出題される図の種類、解答すべきこと(作図、文章題など)をざっくりと押さえることができます。

そのためには解答できなくても良いので、本番通りの時間をとって解答用紙を埋める努力をしましょう。

そして率直な感想を書き残しておきましょう。「相当な分量だ」とか、「分からない図がたくさん出てくる」などで構いません。

これにより現在の自分のレベルを把握でき、次のステップに円滑に移行することができます。

 

【参考資料】

「令和○○年度第○回 気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)

冒頭の「学科試験への取り組み方と勉強の仕方」、「実技試験への取り組み方と勉強の仕方」、「最近の実技試験の出題傾向と対策」はよくまとまっているので、一読することをお勧めします。
学習開始前にはイメージのわきにくい部分もあるので、一通り学習が済んだ段階で改めて読んでみてください。

 

ステップ2:目標を定める

試験の概要を押さえたら、合格を目指す時期を決めましょう。試験は年に2回、8月下旬と1月下旬にあります。受験時期が直近すぎると準備不足になりますが、あまり先の日程だと緊張感を持続できなくなります。

学習を開始したら1〜2年以内の合格を目指すのが良いでしょう。

すでに試験にチャレンジ中の方は、連続して毎回受験することの功罪をよく考えましょう。8月の試験から1月の試験までは5ヶ月もありません。1回休みを入れて、じっくりと準備をするのも有効です。

合わせて、1回で全科目合格を目指すか、科目単位の合格を目指すのかも決めましょう。1回で全科目の合格を目指すには、1年以上の準備期間が必要になります。自分が捻出できる学習時間も考慮しましょう。

最後に、百点満点の試験で何点を目指すのかを決めます。合格基準は学科試験では15点満点中11点、実技試験では70%以上とされています。

例えば85%の正解を目指して学習をすれば、本番で70%を取ることが可能です。試験に合格するには85%の得点を目指せば十分です。

 

【参考書】

「ユーキャンの気象予報士入門テキスト」

学科と実技の全体を網羅した、比較的ページ数の薄い参考書。次のステップ3に進む前に集中して一週間程度で目を通すと良いでしょう。

 

ステップ3:戦略を立てる

ステップ2で立てた目標を実現するための方法論を書き下します。具体的には「何」(教材)を「どれだけ」(何回)、「いつまで」(工程)に行うのかを決めます。マインドマップツールを使うと計画が作りやすいでしょう。

学習に使用する教材は合格に直結するので、慎重に選びます。「この教材をマスターしたら、必ず合格できる」という教材を選びましょう。使う教材が決まったら、同じものを最低3回繰り返して読みます。1回目は流し読み、2回目は理解できないところを抽出して目印をつけていきます。3回目は重要と思われるところに下線を引いたり、2回目で分からなかったところの理解に努めます。

参考書による学習が一通り完了したら、次は過去問題で理解を掘り下げます。

学習のプロセスは①インプット、②理解、③アウトプットの3段階に分けることができます。参考書などを読んで知識を吸収するのがインプットです。理解とは吸収した知識を自分の素材として加工できることです。またアウトプットとはインプットした知識を自由に表現することです。過去問題を解く過程で自分の理解が不足している部分が明確になってきます。その都度、自分でサブノートを作りまとめていきます。これは試験直前の見直しにも使うことができます。

サブノート作りは手段であって目的ではないので、作成に時間をかけすぎないように気をつけましょう。自分で分かれば良いので、パソコンのワープロなどで簡素に作るのがお勧めです。

頭の中に知識の引き出しができていない段階では、参考書で読んだことを吸収するのに時間を要します。同じものを複数回繰り返すことで理解が深まります。理解できないからといって他の教材に手を広げてはいけません。同じ参考書を3回は繰り返して読みましょう。この作業によりインプットが定着していきます。また、理解とアウトプットは参考書の問題や試験の過去問題を解くことで体得できます。特に理解は解けなかった問題を復習することで深まります。

 

【教材】
現在入手可能な教材としては、市販の参考書(3種類ほど)、過去問題、気象庁ホームページ、YouTube動画があります。合格体験記や先輩などの意見を聞きながら、学習の主軸とする教材を決めます。

基礎的な事項は市販参考書で習得できます。しかし、試験では毎回のように新しい題材が出題されます。また技術や制度が変化するため、書籍の内容はすぐに陳腐化していきます。このような最新の情報は気象庁ホームページから定期的に入手します。

試験のための最良の参考書は過去問題です。試験には参考書や気象庁ホームページに記載されていないことが出題されます。過去問題を模擬試験として使うのではなく、試験に直結する参考書として使ってください。

気象庁ホームページはまず一回、すべてのページを閲覧して、どのような情報が提供されているかを把握します。新たな知識を入手するには「知識・解説」、「各種申請・ご案内」を利用します。隅から隅まで覚えようとするのではなく、過去問題を解きながら参照を繰り返します。これにより気象庁ホームページに慣れてくるので、余裕ができた時点で自分に不足している情報を重点的に補うようにします。

YouTube動画は尺が長い割に情報量は多くなく、効率的な学習教材としてはお勧めしません。気分転換に見るぐらいにとどめましょう。

 

ステップ4:工程(スケジュール)を作る

ステップ3で作成した戦略を毎日の具体的な作業に落とし込むために、日単位の工程表を作ります。ある日にどの教材をどこからどこまでやれば良いのか、この工程を見れば分かるようにします。

まず、受験日までの期間を「全体俯瞰」「学習」「習熟」「演習」「確認」のフェーズに分割します。全体俯瞰は参考書を1回目読むのに該当します。できるだけ短期間で済ませるのがコツです。この期間に感じた印象はメモに残しておいて、あとで見返しましょう。

参考書を2回目に読むのが学習、3回目に読むのが習熟に該当します。参考書を2回読み終わると、はじめに読んでまったく分からなかったこともだいぶ分かるようになるはずです。3回目を読み終わると疑問点は絞られてきます。

各フェーズに割り当てる日数は、「全体俯瞰」「学習」「習熟」「演習」「確認」を1:2:2:3:2程度にするのが理想的です。試験まで10ヶ月あるとすれば、全体俯瞰に1ヶ月、学習に2ヶ月、習熟に2ヶ月、演習に3ヶ月、確認に2ヶ月となります。

各フェーズで使用する教材を明記し、日別にこなす分量を明記します。参考書の全ページ数を読み通すのに必要な日数で割って、1日あたりの分量がほぼ均等になるようにします。

スケジュールは100%を作業で埋めずに、20%程度のマージンを残しておきましょう。例えば学習は平日にして、週末は予定を組み込まないようにするのも手です。工程をこなしていくと突発的に学習ができない事象が生じたり、必要な教材が追加になったり、あるいは学習から少し離れたくなる事態も想定されます。その時にこの20%のマージンを使って調整します。

学習フェーズが終わったら、いよいよ過去問題を使った習熟と演習に入ります。教材では学ばなかったような出題が多く、一回で解ける人はいません。気を落とさずに過去問も教材と考えます。復習に力を注ぎ、解けなかった問題から学びましょう。問題演習も同じ問題を最低、3回は解きましょう。3回目は8割以上の正解を目指します。その過程で自分が間違えるパターンや理解が不足している部分が明らかになります。それを補強するためにサブノートを作成するのも有効です。ただし、サブノート作りには時間をかけないように注意します。手書きできれいなものを作るのではなく、パソコンやスキャナーなどを使って省力化を測ります。

以上をエクセルシートなどを使って、試験日までの日単位の作業スケジュールを作成します。一日単位でやるべきことを可視化することは、目標を達成するためにとても有効です。この段階になったら迷うことなく、日々のやるべきことを淡々とこなしていくだけです。

一日の工程を完了したら、成果を確認するためにチェック印をつけます。これがモチベーションになるのと同時に、進捗が順調であることを確認できます。もし進捗が滞った場合は20%のマージン(例えば週末など)を使ってキャッチアップします。

(参考資料)

「令和○○年度第○回 気象予報士試験 模範解答と解説」(東京堂出版)の「最近の実技試験の出題傾向と対策」がよくまとまっているので、有資格者に解説してもらうと良いでしょう。

 


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「合格できるスケジュール作成」への4件のフィードバック

  1. 今回も受験生にとって大変役に立つ投稿ありがとうございます。私の受験生時代に照らし合わせるとこれほど体系だったスケジューリングではなかったものの(笑)、大枠の流れとしては同様だったように思います。

    また「試験のための最良の参考書は過去問題です。」ということは全くその通りだと思います。

    1. いつも応援いただきありがとうございます。

      一見、几帳面な人に向いたやり方のようですが、
      実は怠惰な人にこそ有効な手法だと思います。
      自分も怠惰なもので・・・💦

      昨日の気象講習が好評でした。
      大阪でもいかがですか?

      1. 東京の気象講習、気になっていました。ご無理のない範囲で大阪でも開催して頂けますと幸いです。

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