実技の学習で心がけたいこと

実技の参考書は問題演習を中心に構成されているため、実技の学習法は「習うより慣れろ」的な印象を受けます。

確かに過去問題を解くことは試験対策上では必要なことですし、テーマ別に現象を理解するための良い教材になることも事実です。

しかし、短期間で試験合格を目指すためにはただやみくもに問題演習にぶつかっていくのではなく、必要な能力を一つひとつ習得していくことで効率の良い学習を心がけたいものです。

そこで、今回は学習の過程で意識しておきたいことをまとめました。

 

気象ロジックを抽出して理解する

実技の問題を解く上で、暗黙の了解となっているお約束ごとが色々あります。これを知らないと問題は解けません。

これを私は勝手に、「気象ロジック」と呼んでいます。例えば次のようなものです。

 

【発達する低気圧の条件】

  • 500hPaのトラフと地上低気圧の中心を結ぶ渦軸が西に傾いている
  • 低気圧の進行方向前面に暖気移流と上昇流、後面で寒気移流と下降流がある

 

【様々な地形効果】

  • 対流活動は山地により強化される
  • 山岳などの障害物があると風は割れて、下流で収束する

 

【不安定な大気】

  • 上空(500hPa)に寒気が入り、下層(850hPa)に暖湿気が流入すると大気の成層状態は悪くなる
  • 大気が不安定な時は落雷や突風に注意する
    さらに、上層の寒気が強い時は降ひょう、下層の暖湿気が強い時は短時間強雨に注意する

 

参考書を読んでいると、問題演習の解説の中に気象ロジックが何の前触れもなく登場します。気象ロジックを知っていることが前提になっていて、気象ロジックそのものの説明はないので、解説を読んでいると「なぜそうなの?」というモヤモヤ感が残ります。

演習を通して、このような「気象ロジック」を自分でまとめていくことが大切です。問題を解くたびにアップデートしていけば、どのような問題にも対応できる汎用性の高いものができあがります。

本当はなぜその気象ロジックが成り立つのかが大事なのですが、深入りするのは合格後にしておきましょう。

 

各種資料の読解力

試験問題は前半に問題がまとまってあり、後半に図が添付されています。試験に出題されるこのような図を「各種資料」と呼ぶことにします。

各種資料の基本となるのは、もちろん天気図です。地上天気図に始まる実況資料と、12時間後や24時間後などの予測資料が中心になります。そのほかにも気象現象の理解を助けるための様々な資料があります。

天気図については、毎日見るようにしましょう。それによって天気図に慣れ親しみ、限られた時間内でも必要なポイントに目が向くようになることが期待できます。

学習段階では時間をかけてじっくり解析するよりも、ポイントを絞って見るようにしましょう。

 

【天気図を読むトレーニング
 
①地上天気図でじょう乱を抽出する

  • 日本の天候に影響を与えそうなじょう乱(低気圧、高気圧、前線など)を特定します
  • じょう乱は一般的に西から東に進むので、日本周辺と西側にあるじょう乱を探します
    範囲としては北緯50°、東経110の内側を見れば良いでしょう

    ただし、高気圧については縁辺流などが吹き込むので、日本の東にあるものも確認します

 

②低気圧に対応するトラフを確認する

  • 500hPa面に対応するトラフがあるかを見ます
    すべての低気圧に対応するトラフがあるわけではありません

 

③前線の特徴を確認する

  • 前線が解析されていれば、AXFEやFXJPで温度移流、風の強さを確認し、前線の活動度(活発か否か)を判断します

 

④レーダーエコーで雨域を確認する

  • 前線のどのようなところにエコーが存在するか、特徴的な形状(フック状など)はあるか
    気象衛星画像で雲域の形状とも比べてみます
  • エコーの強いところは、正渦度や上昇流との対応も見ます

 

この程度であれば、10分程度でできる作業でしょう。

天気図以外の図の多くは、学習者が入手できないようなものが含まれます。初めて見るような図もあるでしょう。それでも大丈夫、毎回合格者は出ているのですから。

気象で大切な要素は気温、気圧、風向、風速です。これを意識して天気図を見るようにしましょう。

 

暗記分野の抽出

効率よく学習するには、理解しなくていけないことと、ただ単に覚えれば良いことの線引きをすることが大切です。

学科試験と比べると実技では暗記の対象が限定されるので、早い段階で暗記シートを作ってしまいましょう。

 

  • 国際式天気記号(現在天気、過去天気)
  • 雲量記号
  • 雲の記号
  • 全般海上警報
  • 台風の大きさと強さの階級分け、中心位置の確度
  • アジア・北太平洋の地域、海域名
  • 日本の地方名、県名、海域名、水道・灘の名称
  • 警報(大雨、洪水)の基準     など

 

試験直前に暗記しようと思っていても、実際には時間が作れなかったりします。

暗記ものは自分でクリアフォルダーなどにまとめておいて、毎朝の起きたてに10分でも時間を作って、内容の確認をしましょう。また、地域の名称は、天気図を見るたびに自分で使ってみましょう。

確実に覚えるコツはとにかく目に触れる機会を増やして、自分でも使ってみることです。

 

解析力の向上

各種資料を使って、背景の場や現象の特徴を抽出する作業です。主な解析対象として、以下をあげておきます。

 

  • エマグラム
    状態曲線の特徴を読む、ショワルター安定指数を計算する
  • 強風軸
    300hPaの等風速線から強風軸を見つける、500hPaの風速から強風軸を見つける
  • 等値線
    等温線、等圧線などを書く
  • 前線
    等温線、等相当温位線から前線を書く
  • トラフ
    500hPaの等高度線から、発達するトラフを見つける
  • 低気圧の発達状況
    風向、風速から温度移流を読む
  • 計算
    じょう乱の移動など

 

日常的には良い題材が入手できなかったり模範解答がないので、研鑽するのが困難です。解析力向上の問題集などがあれば嬉しいところですが、「そんなのは邪道だ!」と言われそうな気もします。

上記の中のいくつかについてはこれまでも記事にしているので、参考にしてください。

解析力の向上は、精度向上時間短縮を目指してがんばりましょう!

 

現象別の特徴の理解

日本周辺には、季節の進行に応じて繰り返し発生する気象現象があります。その特徴を理解して、ここまでにあげてきた各能力を発揮できるようにしておきます。

問題演習を現象別に整理することは参考書の最も得意とするところです。しかし、その特徴の整理は各単元の中に埋れてしまっているため、あとで検索するには不便です。自分で現象別の特徴をまとめておくと良いでしょう。

現象を分類するときりがありませんが、主なものをまとめておきました。

 

  • 発達する温帯低気圧
  • 寒冷渦
  • 台風
  • 梅雨前線
  • 沿岸前線
  • 北東気流
  • ポーラーロウ 
  • 冬型の気圧配置
  • 日本海側の大雪
  • 太平洋側の大雪

 

 

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