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「どのような〜か?」「どのように〜するか?」

「どのようなところか」に代表される「どのような〜か?」という問いは頻繁に出題されます。また、「どのように〜するか?」という問いも出題されています。

このような特徴を問う問題は漠然としているので、質問の狙いを要領よく押さえないと答えに窮します。「見たままを書けば良い」とされていますが、慣れないうちは何を着目して良いのか戸惑うことも多いでしょう。

今回は、過去13回(第52回〜第40回)の出題からこのような問題をまとめてみました。解答の着目点に留意しながらお読みください。

(注意)

    • 問題文は、文意を崩さない範囲内で変更してある場合があります。必要に応じて原文を参照してください。
    • 問題文に続き、次のルールに従い出典を示しました。
      例)50-1-2(3)② : 第50回 実技1 問2(3)②
    • 解答文は原文のままです。

 

出題の傾向

「どのような〜か」問題

「どのような〜か?」問題とは、じょう乱やそれに伴う現象の発生状況の特徴をたずねるものです。このような特徴を理解することで、じょう乱の発達状況を推測することが可能になります。

「どのような」に続くのは必ず名詞で、「ところ」「場所」「場」「位置」「位置関係」「高さ」「傾向」などです。

 

どのようなところか

<主語>はどのようなところに<動詞>(する)か

主語: 雲域、前線、強雨域、上昇流
動詞: 発生、存在、位置、大きくなる

【どのようなところか①】
雲域は、以下のそれぞれどのようなところ発生しているかを、①②は簡潔に答え、③は25字程度で述べよ。
① 地上天気図、②500hPa面の渦度場、③850hPa面の相当温位場 (45-1-1(3))
(解答)
停滞前線付近
リッジ場の(中の)正渦度域
相当温位集中帯の南縁で、高相当温位域の東端
【どのようなところか②】
前線の位置は、850hPa相当温位分布ではどのようなところ存在しているかを、等相当温位線の値を含めて述べよ(35字程度)。(44-1-2(2)④)
(解答)
高相当温位域の北縁で、339Kの等相当温位線にほぼ沿っている。
【どのようなところか③】
強雨域が地上気圧場のどのような所位置しているかを簡潔に答えよ。(42-1-3(2)①)
(解答)
低圧部の東端
【どのようなところか④】
断面図において、強い降水をもたらすは下層の暖湿空気のどのようなところ形成されているかを、相当温位の緯度分布に着目し、暖湿空気が流入してくる方向を含め述べよ(25字程度)。(42-1-3(3)④)
(解答)
南西から流入している相当温位の高い暖湿空気の先端。
【どのようなところか⑤】
北緯30°以南の700hPa上昇流どのようなところ大きくなっているかを、初期時刻と24時間後を対比し、850hPa相当温位分布と関連付けて述べよ(30字、20字)。(42-2-2(4)③)
(解答)
初期時刻には: 等相当温位線の集中帯とその南の相当温位が高いところで大きい。
24時間後には: 等相当温位線の集中帯の南側で大きい。

 

どのような場所か<主語>はどのような場所に<動詞>(する)か
主語: 雲域、降水量など
動詞: 対応、存在
【どのような場所か①】
低気圧の中心付近のA、および前線付近のB、Cはどのような場所に対応しているか、相当温位および風に着目して、それぞれ述べよ(25字、20字程度)。(50-1-2(3)②)
(解答)
A: 相当温位の極大域に近い低気圧性循環の中心の西側。
B、C: 相当温位の極大域付近で風の強いところ。
【どのような場所か②】
この雲域は、850hPa相当温位分布の、どのような場所存在しているか簡潔に答えよ。(42-2-1(3))(解答)
相当温位が相対的に高い領域
【どのような場所か③】
大きな降水量が予想されている要因を、それがどのような場所予想されているかも含めて述べよ(50字程度)。(41-1-4(3))(解答)
下層の相当温位の高い気塊が合流しながら南海上から流れ込み、南に向いた斜面に沿って上昇するため。

 

どのような場か

<主語>はどのような場に<動詞>(いる)か
主語: 地上気圧、気温、鉛直流、雲
動詞: なる、発生

【どのような場か①】
三陸沖から関東の東にかけての地上気圧、850hPa気温および700hPa鉛直流どのような場なっているかを、それぞれ簡潔に答えよ。(42-2-1(4))
(解答)
地上気圧:気圧の谷
850hPa気温:温度の尾根
700hPa鉛直流:上昇流域
【どのような場か②】
領域Bの特徴的なは、どのような風の場発生しているかを、地上天気図に着目して簡潔に答えよ。40-2-1(2)④
(解答)
高気圧の縁を回る風の場

 

どのような位置か<主語>はどのような位置に<動詞>(される)か
主語: 低気圧の中心、降水
動詞: 予想
【どのような位置か①】
低気圧の中心が、850hPa面の相当温位場および700hPa面の湿数の場のどのような位置予想されるか、それぞれの傾度に言及せよ(いずれも30字程度)。(52-2-2②)
(解答)
相当温位場: 相当温位の尾根の西縁で、相当温位傾度の大きいところ。
湿数の場: 東側の湿潤域と西側の乾燥域に挟まれ、湿数傾度の大きいところ。
【どのような位置か②】
低気圧の中心が、500hPa面のトラフおよび下層の暖湿空気のどのような位置予想されているか(30字程度)。(52-2-2(2)③)
(解答)
トラフの進行前面で下層暖湿空気が北に突出するところの西縁。
【どのような位置か③】
この降水どのような位置予想されているかを、関係するじょう乱の種別(低気圧、高気圧など)と等圧線の値を示して述べよ(25字程度)。(42-1-2(1)①)
(解答)
1008hPaの等圧線で囲まれる高気圧の南縁。

 

どのような渦度場のどのような相対的位置か
<主語は>どのような渦度場のどのような相対的位置に<動詞>されるか
主語: 湿潤域
動詞: 予想
【どのような渦度場のどのような相対的位置か】
この降水に伴う700hPa面の湿潤域が500hPa面のどのような渦度場のどのような相対的位置予想されているかを述べよ(15字)。(42-1-2(1)②)
(解答)
沿海州の正渦度域の南縁。

 

どのような位置関係か<主語>はどのような位置関係にあるか
主語: 地上の低気圧、前線
【どのような位置関係か①】
地上の低気圧は、この低気圧に対応する300hPaのジェット気流の強風軸とどのような位置関係あるかを簡潔に答えよ。(45-2-1(3))
(解答)
地上の低気圧は、強風軸の真下にある。
【どのような位置関係②】
伊良湖と飛島における最大風速は、それぞれの地点に対して寒冷前線、温暖前線または低気圧どのような位置関係あるときに出現したかをそれぞれ述べよ(25字、20字)。(43-1-3(2))
(解答)
伊良湖: 寒冷前線が伊良湖のすぐ西に接近している時。
飛島: 日本海の低気圧が飛島に最接近している時。

 

どのような高さか大気下層からどのような高さまでの安定度を考えれば良いか
冬季のしゅう雨性降水を考えるとき、大気下層から中層にかけての大気の安定度を適切に把握するには、大気下層からどのような高さまでの安定度を考えれば良いかを、気圧等の数値は示さずに簡潔に答えよ。(49-1-2(2)③)
(解答)
逆転層の下端

 

どのような暖湿空気がどのような方向からどの高さかどのような暖湿空気がどのような方向からどの高さに流入しているか
強い降水をもたらしている背景として、線分X-Y上では、どのような暖湿空気がどの方向から主にどの高さから流入しているかを、断面図の相当温位や気圧(高度)の値を含めて述べよ(40字)。(42-1-3(3)①)
(解答)
相当温位360Kの暖湿空気が南西方向から950hPa付近の下層に流入している。

 

どのような傾向災害特性にどのような傾向があるか

降水量による大雨注意報・警報基準は東京都千代田区では前3時間降水量が、横浜市では前1時間降水量が対象となっている。この違いは主に地形に関する災害特性に起因している。起伏の多い横浜市では、ほぼ平坦な東京都千代田区と比べて災害特性にどのような傾向があるか述べよ(40字程度)。(47-1-4(2)③)
(解答)
横浜市では傾斜が大きい地域が多く、降った雨が短時間に流下し、はん濫しやすい。

「どのように〜するか」問題

「どのように〜するか」問題では、ある事象が一定時間経過した後にどのように変化するかをたずねる形式が頻出です。事象としては、「降水」「降水域」「風」「低気圧」などです。

どのように変化するか<主語>がどのように変化するか

主語: 降水、降水域、風、低気圧の勢力

【どのように変化するか①】
12時間降水量が多くなるのは、降水あるいは降水域どのように変化するときか、その時間的・空間的変化を三つ、簡潔に答えよ。(50-1-2(3)④)
(解答)
降水強度の増大、降水域の発生、降水域の拡大、降水域の移動速度の低下
【どのように変化するか②】
台風の中心の最接近の前後でどのように変化したかを述べよ(30字)。(45-1-3(4)②)
(解答)
風向が南よりから北西へと大きく変化し、風速が最も弱くなった。
【どのように変化するか③】
低気圧の進行方向前面と後面にみられる温度移流、鉛直流、湿りの特徴を簡潔に答えよ。また、これらの特徴は今後、低気圧の勢力どのように変化することを示しているかを簡潔に答えよ。(41-2-2(3))
(解答)
前面: 暖気移流場で上昇流域に当たり湿っている
後面: 寒気移流場で下降流域に当たり乾燥している
低気圧の変化: 発達する
【どのように変化するか④】
(初期時刻と12時間後の)状態曲線を比較し、この12時間に大気の成層状態どのように変化したかを、1000hPaと500hPaの温度に着目し、比較した図の名称を明示して述べよ(40字程度)。41-2-4(2)
(解答)
1000hPaと500hPaの温度差が(ア)より大きくなり、安定度が悪くなった。
【どのように変化するか⑤】
黄海北部から華中にのびるトラフの地上低気圧の発達への寄与が26日21時までの24時間にどのように変化すると予想されているかを、トラフの深まり(浅まり)、移動、地上低気圧との位置関係を含めて述べよ(50字程度)。40-1-2(2)①
(解答)
トラフは浅まりながら速い速度で東進し、地上の低気圧中心を追い越して低気圧の発達への寄与はなくなる。
【どのように変化するか⑥】
気圧と風の分布がその後の6時間でどのように変化すると予想されているかを述べよ(40字程度)。40-1-3(2)
(解答)
北部の高気圧が弱まり、南海上からの南〜南西風が内陸部まで達するようになる。

 

どのように分布するか<主語>はどのように分布している場所か
主語: 気温と風
16日15時から16時にかけて、神奈川県でも降水域の発生・発達が見られた。その降水域は、気温と風どのように分布している場所かを述べよ(20字)。(44-1-3(4))
(解答)
高温域で,東風と南風が収束する場所。

 

どのように予測されるか<主語>はどのように予測されているか
主語: 気圧と風の分布
関東地方の気圧と風の分布どのように予想されているかをそれぞれ述べよ(35字、30字程度)。(40-1-3(1))
(解答)
気圧: 北部に高気圧が形成され、神奈川県から房総半島にかけて気圧の谷となる。
風: 南海上から南西風が南部沿岸に達するが、内陸部では風が弱い。

 

「どんな〜か」「どのように〜するか」問題の対策

「どのような場か」「どのようなところか?」「どのような位置か?」問題の対策はこちらです。

「「どのような〜か?」「どのように〜するか?」」への4件のフィードバック

  1. 有意義な記事をありがとうございます。
    実技試験を2回落ちて、知識も足りないのですが、それだけじゃなく出題者の意図・ストーリーを読めなければ、またもっと天気図を読めなければと思っていたところ、ビール隊長さんのプログに出会い、開眼させられました。
    自分以外の人の思考を知ることは非常に助けになります。
    今後ともチェックしていますので、よろしくお願い致します。
    「どんな~か」「どのように~するのか」問題の対策をお待ちしております。

    1. こんにちは。本ブログがお役に立てて嬉しいです。

      「出題者の意図やストーリーを意識する」ことに気がつかれたのは、とても良いことだと思います。

      天気図を読むというのは、大きく「現象を解析する」→「展開シナリオを作成する」という2工程です。
      現象解析には、試験でもよく問われるトラフやジェットの解析が含まれます。
      シナリオ作成は、解析に基づき今後発現が予想される状況を考えることです。

      試験では試験作成者が作成したシナリオがあり、それに沿ったストーリーを受験者が考えていくという作業です。

      ですからいわゆる「試験勉強」とは別に、ご自身で日々の天気図でシナリオを考える練習を積んでおくことが
      遠回りのようですが最前の学習法になると思います。
      現実には、自分で作ったシナリオを誰も添削してくれないというところが悩ましいですが・・・。

      試験にさっさと合格してそれからじっくりと天気図と向かい合うか、
      それとも天気図を読む練習をしっかりしてから試験に合格するか。
      いずれもありだと思います。

      独学では色々と悩みは理解できないことが積もって、ストレスも溜まるのではないでしょうか。

      気象予報士試験の模範解答ではその思考過程が開示されていません。
      またトラフやジェットの解析も「かなり」の許容度があるはずですが、それも開示されていません。

      そんなことも、身近に気象に詳しい人がいればすぐ解消するようなこともあるはずです。

      分からないことがあれば、またご質問いただければお答えしたいと思います。

      リクエストも頂いたので、私も作成に頑張ります。

      1. 早々にコメント&アドバイスを頂き、ありがとうございます。
        シナリオを読むって、予報ってことなのでしょうけど、
        取りあえず試験の合格レベルに達してから、じっくり天気図と向かい合いたいです。

        少しだけ山登りもするのですが、気象現象の面白さを理解したいと思って勉強を始めたのですが、
        最近ハザードマップを確認しなさいとテレビでよく聞きますけど、見たことがある人は少ない?見てもわからないですよね。
        そんなことでお役に立てることをしてみたいなと思い始めています。

        独学ですのでわからないことがたくさんあります。
        アドバイスを頂けると助かります。これからもよろしくお願い致します。

        ☀:前回名前に本名を入れてしまったのですが、ペンネームに入れ替えて頂けないでしょうか。

        1. 早く合格したい、・・・ですよね。
          あえてそれと矛盾することを書かせていただきます。

          私は気象予報士に合格すると、バリバリと予報できるようになるイメージを抱いていました。
          しかし、実際にはそんなことはないわけです。
          合格はあくまでも出発点であり、そこから地道な積み重ねが続いていきます。

          民間気象会社にでも就職するのでなければ、入手できる情報は合格前と変わりません。
          合格後は試験も参考書もありません。何を目安に研鑽したら良いのか、不明瞭になります。
          その意味では、合格後の方がステップアップは厳しいと言えそうです。

          そのためにも受験勉強をメインにするのではなく、気象解析をメインにするのが良いと思います。

          試験合格のための「試験勉強」は一回目の受験時だけにしておいて、
          受験回数が増えていくようであれば「気象解析」に比重を移していく方が
          実力向上のためにも精神面にとっても良さそうです(あくまで私見です)。

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